このアパートとジミーベースの思い出

 そして、このアパートは、14年前、ジミーバースという、すばらしい私の尊敬する、アフリカンアメリカンのジャズサックス奏者といっしょに探しあてた場所だった。
 実は、その少し前に、私、一人で見つけた、120st.あたりのアパートがあったのだが、正式に契約するとき、なんだか一人で、不安だったので、ジミーバースに頼んで、ついてきてもらったのだった。ところが、なんか、風向きが変になり、いつまでたっても、リノベーションしてもらえるようすもなかった。上に上がるエレベーターからは、空が見える、ファンキーな建物だが、確かに、ジミーベースの指摘のとうり、雨や雪が降ったら、悲惨だ。彼は、ここは、だめだ。自分だったら、やめとくと私の契約に反対してくれた。そして、おさめてあったデポジットを取り返し、もっと、他の部屋も見せてくれるように、要求した。そして、出合ったのが、それから、14年も住む事になった、この部屋だったのだ。
 あのとき、ジミーが私のこれからのことを、思ってしてくれた、親切が、今、こうして、ずっと、これからの私も左右している。この、アパートは、基本的に大好きだ。とても、住み心地がよい。あれから、14年、ジミーベースは、会うたびに、まだ、あのアパート住んでいるのかときいてくれる。私は、いつも、シュアーといって、ジミーにお礼を言う。
 ほんとうに、あのとき、ジミーに同行してもらえてなかったらと思うと恐ろしい。
 なんて、ラッキーだったんだろう。
 ジミーベース、本当にありがとう。
 私は、ジミーの演奏を聴くたびに、どこかのレコード会社が、今のジミーを録音してくれないかなといつも思った。もったいない。あのサウンドを、後世のジャズミュージシャンたちに残さないのは。ルードナルドソンとかは、アルバムが何枚もあるし、録音物で残っているのもたくさんあるだろう。だけど、私には、ジミーの演奏が生きていく上で必要だ。
 どうか、ジミー、あの世に逝っても、自分の事を卑下しないで、堂々とサックス吹き続けてください。ジミーがどんなにすばらしい演奏家であったかということは、貴方の演奏を聞いた人が、みんな知っている。みんな、貴方のことをいいプレイヤーだと思っていたんだ。
 売れるという事と、そのプレイヤーがいい演奏家であるという事とは、全く違う事だなあと彼の生涯をみて、実に、そう思う。
 もう、一回ぐらい、最後に会いたかった。
今度、ユニバーシティーオブザストリートに行ってみよう。
ジミーベースの面影を探しに。

 ジミーベース、9月27日未明死去。d0056271_12123418.jpg
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by swingmasa | 2006-10-22 17:39 | あれから